下行性伝導路(錐体路と錐体外路)
錐体路→随意運動の伝導路
錐体外路→随意運動の調整の伝導路
各障害の特徴を表にしてみた↓↓↓
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経路 |
大脳皮質(運動野) ↓ 内包(大脳) ↓ 大脳脚(中脳腹側部) ↓ (橋腹側部) ↓ 錐体(延髄) ※錐体交叉(延髄下部) ↓ |
中脳 ・赤核 ・上丘(視蓋) 橋、延髄 ・網様体 ・前庭神経核 ↓ 脊髄側索、前索
例)赤核脊髄路、視蓋脊髄路、 網様体脊髄路など |
症状 |
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筋緊張 |
痙直(痙縮) 弾力性抵抗 運動初期抵抗 (折りたたみナイフ反射) |
強剛(固縮、強直) 断続的抵抗(歯車様) 一様に抵抗(鉛管様) |
反射 |
腱反射亢進 病的反射出現 皮膚反射消失 |
必ずしも亢進しない 皮膚反射正常 |
不随意運動 |
伴わない |
伴う(一部伴わない) |
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※錐体交叉後、側索or前索のどちらかに行くかで名称変わる(大部分が側索)
<概要>
錐体路障害
・痙直
ある関節を他動的に速く動かした場合に抵抗が強くなり、ゆっくり動かすと抵抗
が消失する状態
・折りたたみナイフ反射
運動開始時は筋緊張が高まっているが、ある一定のところで筋弛緩が生じる現象
錐体外路障害
「筋活動の微調節」がなくなってしまうためスムーズな関節運動が失われる
・強剛
運動速度に関わらず常に筋緊張が亢進している状態
・断続的抵抗(歯車様)
筋緊張の亢進により部分的に抵抗がある関節運動がみられ、まるで歯車のようにか
くかくと動くことから「歯車様」と呼ばれる
国家試験では各障害で何が起こるかがよく問われていると感じる
<問題>
例題)錐体路障害にみられるのはどれか
1.アテトーゼ
2.痙性麻痺
3.運動失調
4.筋固縮
1→不随意運動の一つで脳性麻痺が原因で起こる=不随意運動は錐体外路障害
2→痙性麻痺は錐体路障害
3→運動失調は小脳疾患で発症し、起立・歩行時のふらつきなどの症状が
代表的な症状である=関係なし
4→筋固縮は錐体外路障害
したがって、解答は「2」となる
こんなパターンもあったり、、、
例題)錐体外路障害による疾患はどれか
1.パーキンソン病
2.ウィルソン病
3.ALS
4.シャルコー・マリー・トゥース病
1→代表的な症状として筋固縮、安静時振戦などがあげられる
=固縮や不随意運動は錐体外路障害
2→肝臓の銅代謝異常による疾患=関係なし
3→ALS=筋萎縮性側索硬化症であり、上位運動ニューロンの障害による症状として
痙性麻痺や腱反射亢進、病的反射の出現がみられる=錐体路障害
4→四肢遠位の筋委縮がみられる病気=関係ない
したがって、解答は「1」となる
酸素解離曲線
酸素解離曲線とは・・・
血中の酸素(酸素分圧)とヘモグロビンの結合飽和度(酸化ヘモグロビンの割合)
をグラフ化したもの
よく出題される内容は、代謝の変化で左右どちらにシフトするかまたは
どちらかにシフトしたときの生理的反応だと感じる
例題)ヘモグロビンの酸素解離曲線に関して誤っているのはどれか
1.温度の高い組織では、酸素の解離は多くなる
2.pHの低い組織では、酸素の結合は少なくなる
3.代謝が低下した組織では、曲線は右側へシフトする
4.CO₂分圧の低い組織では、酸素結合度は上がる
簡単にグラフに表してみました↓↓↓
※縦軸:酸化ヘモグロビンの割合
横軸:酸素分圧
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右方シフト |
左方シフト |
亢進(運動時、体温上昇) |
低下(休息時、体温低下) |
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しやすい(=細胞に供給◎) |
しにくい(=細胞に供給✖) |
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酸化Hb割合 |
低下 |
上昇 |
酸素分圧 |
低下 |
上昇 |
二酸化炭素分圧 |
上昇※¹ |
低下 |
pH |
低下 |
上昇 |
2,3DPG濃度※² |
上昇 |
低下 |
※¹二酸化酸素分圧の上昇=「ボーア効果」
※²2,3DPG→酸素運搬調整物質=「細胞との結合しやすさ」を表す
・右方へのシフト
代謝亢進(運動時、体温上昇など)によってシフトする=細胞が酸素を欲しがる!
⇒酸化ヘモグロビンから細胞への酸素供給は需要高い(ヘモグロビンと酸素が解
離)
すると血中の酸素が貴重なものとなるため、ヘモグロビンとの酸素結合度は上昇する
・左方へのシフト
代謝低下(休息時、体温低下など)によってシフトする=細胞の酸素は十分!
⇒酸化ヘモグロビンから細胞への酸素供給は需要少ない(酸化へモグロビンのま
ま)
すると血中の酸素が有り余っているため、ヘモグロビンとの酸素結合度は低下する
したがって、例題の解答は「3」となる
糖尿病
<概要>
インスリンの作用が低下してしまうことにより、高血糖状態をきたしてしまう病気である
<分類>
糖尿病は「Ⅰ型」と「Ⅱ型」に分類され、それぞれに特徴がある↓↓↓
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Ⅰ型(インスリン依存型) |
Ⅱ型(インスリン非依存型) |
原因 |
膵β細胞の破壊的病変 例)免疫低下(ウイルス感染) |
インスリン作用の相対的低下 例)食べすぎ、暴飲暴食、運動不足 ストレスなど |
人口割合(国内) |
5%以下(=ごく稀) |
95%以上(=大部分) |
好発年齢 |
小児~思春期 |
40歳以上 |
体型 |
やせ型 |
肥満 |
発症過程 |
急激な場合が多い(症状悪化) |
ゆっくりと発症+進行 |
治療 |
インスリン注射 |
※Ⅱ型は遺伝的要素がある
「依存」と聞くと、スマホ依存症やギャンブル依存症などが浮かぶ
⇒依存とは「欲」だ!
ということで自己流の理解方法は、
Ⅰ型→インスリンの出発点(膵β細胞)がダメになる→インスリン不足
→「インスリンもっと欲しい!」=欲⇒依存型
Ⅱ型→インスリンの機能低下→出発点は問題なし=インスリン充分
→「特にいらないかな……」⇒非依存型
<診察>
主に血糖値とHbA1cを用いる
⇒血糖値が増える為、当然HbA1cも高値を示す
※HbA1cが6.5%以上でアウト(通常時のHbA1cの目標値は6%未満)
<その他>
糖尿病患者はインスリン作用の低下により血糖を細胞内に取り込むことができない
つまり、糖をエネルギー源として利用できない...
⇒ここで脂質をエネルギー源として利用する手段をとる!
その際、副産物としてケトン体というアシドーシスの原因物質が出現
症状としては意識障害、低体温などがあり、糖尿病性昏睡へとつながる
※Ⅰ型糖尿病患者に多い
・糖尿病三大合併症(しめじ)
し・・・神経障害 例)手足のしびれ、疼痛、下痢など
じ・・・腎症